嘘も孤独も全部まとめて
「それは違います」


すぐ頭上から聞こえる透の声。

皆がこちらを注目する。

透を見ているのかもしれないけれど、突き刺さるような視線の多さに思わず透の胸に顔を埋めた。


「確かに……貴女のしたことは許されるものではないです。娘の心と体に一生消えない傷をつけたことに違いはありませんが、貴女が杏里紗を産んでくれなければ今こうやって一緒に居ることはできませんでした。……お義母さん…。杏里紗を産んで下さってありがとうございました」


透があたしを抱き締めたまま頭を下げる。


「とお…っ…」


我慢していた涙が、一気に溢れ出した。
< 503 / 514 >

この作品をシェア

pagetop