嘘も孤独も全部まとめて
「杏里紗も」


顔を上げた透が、あたしにも促すように背中を押し、涙目で微笑む。

三年間、顔も合わせなかった母親に対して言葉なんて出てこなくて。

涙ばかりが溢れる。


「――っ…、お…お母…さん…」


「……杏里紗…」


お互い涙でぐちゃぐちゃの顔。

十七であたしを産んだのなら、まだ三十四歳だ。


「無理…っ…。何っ…話したらいいか…分かんっ…ない…」


透の服を引っ張り、泣きながら抗議した。

周りからも、すすり泣く声が聞こえてくる。
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