嘘も孤独も全部まとめて
※※※



「あー、泣いた泣いた」


『ハハッ』と笑い、透と手を繋いで海辺を歩く。

二月だから波打ち際は凍えるように寒くて。


「こんな寒いのに何でこんなとこ歩いてんの、あたし達」


体の芯から冷える勢いだ。

雪がちらつく中、私服に着替えたあたしに『海に行かないか』と言い出した透。

本当は寒くて嫌だったけれど、透と一緒ならいいかと承諾した。


「何でだろな」


そう言って笑う。


「はぁっ?!考えなし?マジで!?」


何のために連れ出されたんだ、あたし。


「でもたまにはいいだろ、こーゆーの」


繋いだ手を握り締め、立ち止まる。
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