嘘も孤独も全部まとめて
「鼻真っ赤」


空いた方の手であたしの鼻を摘まんだ。


「透だって――…、んっ」


冷たい鼻先に温かい透の指先が触れたかと思うと、そのまま後頭部に手を回され唇を塞がれた。

冷たい雪が肌に当たり、熱で溶けていく。


「透の鼻も氷みたいに冷たいし」


頬に触れる鼻先。

至近距離で顔を合わせ、お互いの熱を確かめるように何度も唇を重ねる。


「指輪、持ってきた?」


息が途切れ、透の腕の中で目を閉じていると頭上から声が降ってきた。
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