嘘も孤独も全部まとめて
『盗った盗らないの話だから所持品全部チェックしたんだけど、うちの奴が調べたら女の方は金どころか何も持ってなかったよ』


「じゃあ…」


事件性はないのか?


『ただ、どこかに隠してるかもしれないしな』


「そうですか」


『まあ、また何か分かったら連絡する』


「お願いします」


電話を切り、指を組んで机に両肘をついた。


「戸田。お前は今日どうする?岡本の案件――」


「私は盗難届が出てる自転車の捜査行ってきます」


言い終わる前に返事が返ってくる。
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