嘘も孤独も全部まとめて
俺が風呂から出ると、自動的に女が後ろ向きのままバックした。

女のすぐ背後には火にかけたやかんがある。


「おい、危ない!」


慌てて腕を掴んで引っ張ると、反動で俺の胸に飛び込んできた。

思いの外軽くて細い。


歳の割に小さいのは、やっぱり日常生活のせいか?


そんなことを考えていたら、突然突き飛ばされた。

勢いで風呂の段差に足を取られ、そのまま尻餅をつく。


「…ってぇ…。おい、何すんだよ」


洗面台で頭をぶつけなくて良かった。

そう思うと、突き飛ばされたことに腹が立つ。
< 92 / 514 >

この作品をシェア

pagetop