嘘も孤独も全部まとめて
「痛ってー。食べ物を投げるな」


膝の上に落ちたパンを机の上に置いて顔を向けると、めちゃくちゃ睨んでいる。


仕方ない…。


「…杏里紗」


ため息を吐いて名前を呼んだら、視線を反らせてプクッと膨れた。


「ちゃんと呼んだのに、何でキレてんだよ」


意味分かんねー…。


「別にキレてないし…」


「杏里紗、こっち向け」


膨れた両頬を手で挟んでこちらを向けると、なぜか泣いている。


「え、何?」


まったくもって意味が分からない。
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