聖女、君子じゃございません
俺たちはこれから、アスベナガルの王都――――城へと向かうことになっている。アーシュラ様の転移魔法は使わない。徒歩や馬でのんびり向かうことになっている。その方が、アスベナガルの土地を浄化するのに都合が良いからだ。
この国の元王太子であり、アーシュラ様の元婚約者は、後方から俺の部下たちが護送している。アーシュラ様の強い希望によるものだ。
『だってだって、ローラン様との大事な婚前旅行ですもの』
そう言ってアーシュラ様は朗らかに笑う。邪魔者は視界に入れたくない、ということらしい。激しく同感だった。
「ローラン様、もしかして緊張してます?」
すると、揶揄するような瞳で、アーシュラ様が俺を見上げてきた。表情も仕草も無駄に可愛い。俺は小さく首を横に振った。
「大丈夫です。ちゃんと、心の準備はしてきました」
そう答えつつ、俺はアーシュラ様の手をギュッと握る。
アスベナガルには、アーシュラ様の両親がいる。元王太子を城へ送り届けた後、俺たちはアーシュラ様の両親に会いに行く予定だ。婚約の報告をするためである。
本当は身体中が心臓になったのではないかというぐらい、緊張していた。精一杯の強がりだけど、たまには俺もアーシュラ様に格好いいって思われたい。必死で平常心を装っていた。
この国の元王太子であり、アーシュラ様の元婚約者は、後方から俺の部下たちが護送している。アーシュラ様の強い希望によるものだ。
『だってだって、ローラン様との大事な婚前旅行ですもの』
そう言ってアーシュラ様は朗らかに笑う。邪魔者は視界に入れたくない、ということらしい。激しく同感だった。
「ローラン様、もしかして緊張してます?」
すると、揶揄するような瞳で、アーシュラ様が俺を見上げてきた。表情も仕草も無駄に可愛い。俺は小さく首を横に振った。
「大丈夫です。ちゃんと、心の準備はしてきました」
そう答えつつ、俺はアーシュラ様の手をギュッと握る。
アスベナガルには、アーシュラ様の両親がいる。元王太子を城へ送り届けた後、俺たちはアーシュラ様の両親に会いに行く予定だ。婚約の報告をするためである。
本当は身体中が心臓になったのではないかというぐらい、緊張していた。精一杯の強がりだけど、たまには俺もアーシュラ様に格好いいって思われたい。必死で平常心を装っていた。