聖女、君子じゃございません
 どうやらわたしには、色気というものがないらしい。
 性格は――――まあ仕方がないとして、身体の凹凸が乏しいし、手を伸ばしたくなるような色香が無いのだと――――以前言われたことがある。当然、それを口にしたのはローラン様ではない。けれど、事実、手を出されていないのだから参考にはなる。


 そんなわけで、わたしが打ち出したローラン様を誘惑するための作戦っていうのは、第一に己の肉体を改造することだった。

 一説によれば、鶏肉には胸を大きくする何かがあるらしい。しかも、油で揚げてあるものの方が、効果が高いんだとか。


「アーシュラ様が何を考えているかは分かりませんが」


 ローラン様がわたしの頭をポンと撫でる。


「俺はあなたが好きですよ」


 優しい微笑み。その瞬間、身体中の血液が喜びで沸騰した。

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