聖女、君子じゃございません
(そりゃぁ、国を護るほどの結界を張れるんだ。この程度の空間、自在に操るよな)


 半ば呆れ、半ば感心しつつ、俺は嘆息した。


『……そんなにつまらなかったんですか? 殿下とのお茶会は』

『うん! そりゃぁもう、つまらなかった! わたしの話なんてちっとも聞いてくれないし、ずーーっと自分の話をしてるの。俺はこんなすごいことができる、あんなすごいものを持ってる――――ってな感じで。周りにどれだけ下駄を履かしてもらってるかも知らずに、いい気なもんデスよね。
……あっ、安心してください。ちゃぁんと褒めちぎっておきましたから! お茶会の間はちゃんとバッチリ猫被ってましたから! いや、聖女の皮を被ってた、が正解かな?』


 アーシュラ様はそう言って得意げに胸を張る。何とも複雑な気持ちで俺は首を傾げた。


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