聖女、君子じゃございません
俺はアーシュラ様の掛布をバサッと剥ぎ取った。アーシュラ様はさして驚くでもなく、夢見心地な表情でふふ、と笑っている。
「大体何なんですか、この部屋の惨状は! まだたった1日しか滞在してないでしょう! どうやったらこんなに散らかせるんですか!」
「えーー? このぐらい普通じゃないのーー?」
「普通じゃありません。断じて普通じゃありません!」
辺りに散らばった荷物を集めつつ、きっぱりとそう言い放つ。拾い上げているものの中にはアーシュラ様の洋服――下着なんかも混じっているが、本人に不満はないらしい。俺が片づけをしている様子を黙って見守っている。
(聖女の部屋っていうのは神聖な領域じゃなかったのか!?)
これでは、『神聖』というより寧ろ、『禁忌』領域である。今はまだ『少し散らかった』程度の表現で済むが、数日も経てば間違いなく腐海に成り果てるだろう。そう思うと、頭が痛くて堪らなかった。
「だから侍女をお連れ下さいと申し上げたんです! そうすれば、さすがにここまで散らからなかったでしょうに!」
「人に気を遣うのは嫌なんですってばーー! わたしは自分のタイミングで着替えたりゴロゴロしたりしたいし、気が向いた時に片づけをするタイプで……」
「大体何なんですか、この部屋の惨状は! まだたった1日しか滞在してないでしょう! どうやったらこんなに散らかせるんですか!」
「えーー? このぐらい普通じゃないのーー?」
「普通じゃありません。断じて普通じゃありません!」
辺りに散らばった荷物を集めつつ、きっぱりとそう言い放つ。拾い上げているものの中にはアーシュラ様の洋服――下着なんかも混じっているが、本人に不満はないらしい。俺が片づけをしている様子を黙って見守っている。
(聖女の部屋っていうのは神聖な領域じゃなかったのか!?)
これでは、『神聖』というより寧ろ、『禁忌』領域である。今はまだ『少し散らかった』程度の表現で済むが、数日も経てば間違いなく腐海に成り果てるだろう。そう思うと、頭が痛くて堪らなかった。
「だから侍女をお連れ下さいと申し上げたんです! そうすれば、さすがにここまで散らからなかったでしょうに!」
「人に気を遣うのは嫌なんですってばーー! わたしは自分のタイミングで着替えたりゴロゴロしたりしたいし、気が向いた時に片づけをするタイプで……」