聖女、君子じゃございません
「気が向いたら? じゃぁ、アーシュラ様の気が向くのって一体どのぐらいの頻度なんです?」

「だっ……大体1週間に一回ぐらい」

(絶対嘘だ)


 こういう人間の自己申告はまったく当てにならない。恐らくは1週間に一回ではなく、その倍か3倍ほど、2~3週間に一回気が向けば良い方だろう。


「気持ち悪くないんですか? 放っておいたらすぐに足の踏み場もなくなるでしょう? 綺麗な部屋で過ごした方が気分も晴れますし」

「いやぁ、わたしって完璧主義だからさぁ。一個やりだしたら全部やらなきゃ気が済まないわけ。でも、全部やるほどの体力は無いから、一個もやらないの!」

「どういう理屈なんですか、それ?」


 完璧主義が聞いて呆れる。どや顔を浮かべたアーシュラ様の額を軽く小突きつつ、俺は密かにため息を吐いた。
 この数分間の間に、ひとまずは見れる程度の部屋にすることができた。空いたソファの一角に腰掛けつつ、気持ち良さげに伸びをするアーシュラ様を顧みる。


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