聖女、君子じゃございません

6.聖女、自己管理ができない

「ローラン様、わたし滅茶苦茶疲れました」

「……だろうな」


 王都から程近い、とある領主の治める地。そこでアーシュラ様は一人の女性の魂を浄化した。
 本人曰く『幽霊を扱うのは初めて』だったらしいが、危なげなく除霊をこなしているように俺には見える。

 とはいえ、慣れない力を使うと疲れるのだろう。アーシュラ様は顔を火照らせ、ふぃーーとため息を吐いていた。


「部屋に戻られますか? 今日はもうゆっくりした方が良いでしょう?」


 かなり寂れてはいるが、元々は栄えていたらしく、きちんとした宿がある町だ。今日は町を回るのは止めて、昼寝でもすれば良いと思う。その方が体力を回復しやすいだろう。


「んーーーー、わたしの部屋、今とっても過ごしづらい状況なんでぇ……」

「……だから片づけをしてください、と言ったでしょう」


 この町に滞在するのは2日目。というか、昨日は夜遅くに宿に着き、そのまま寝るだけだったのだから、本当なら散らかすほどの時間はない筈だ。


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