聖女、君子じゃございません
「ローラン様、お水、持ってましたよね?」
「ここにある」
「貸してください」
アーシュラ様は俺から水筒を奪い取ると、子どもの唇をゆっくりと水で濡らしていく。
「本当は身体中傷だらけだから、そっちの方も治したいんだけど」
今は水分補給が先だと言いたいらしい。けれど、その子は自力で嚥下できる力もないようで、アーシュラ様は腹立たしそうに、子どもの両手を握った。
「何をやっているんですか?」
「人間は口からじゃなくても水分を摂れるものなんですって。多分だけど、わたしがこうやってたら、この子に水分を送り込めるから」
アーシュラ様はそう言って、枯れ枝のような子どもの手を必死で握っている。眩く優しい光りが空に向かって上っていく。アーシュラ様は息をするのも忘れ、子どもに力を送り込んでいた。
「アーシュラ様、水を。このままではあなたの方が倒れます」
「いらない。今、それどころじゃない」
アーシュラ様の瞳は真剣だった。一心不乱に目の前の子供と向き合い、助けようとしている。
「ここにある」
「貸してください」
アーシュラ様は俺から水筒を奪い取ると、子どもの唇をゆっくりと水で濡らしていく。
「本当は身体中傷だらけだから、そっちの方も治したいんだけど」
今は水分補給が先だと言いたいらしい。けれど、その子は自力で嚥下できる力もないようで、アーシュラ様は腹立たしそうに、子どもの両手を握った。
「何をやっているんですか?」
「人間は口からじゃなくても水分を摂れるものなんですって。多分だけど、わたしがこうやってたら、この子に水分を送り込めるから」
アーシュラ様はそう言って、枯れ枝のような子どもの手を必死で握っている。眩く優しい光りが空に向かって上っていく。アーシュラ様は息をするのも忘れ、子どもに力を送り込んでいた。
「アーシュラ様、水を。このままではあなたの方が倒れます」
「いらない。今、それどころじゃない」
アーシュラ様の瞳は真剣だった。一心不乱に目の前の子供と向き合い、助けようとしている。