聖女、君子じゃございません
「だって、食べることは喜びだもの」
そう言ってアーシュラ様は、俺の口にスプーンを勢いよく突っ込んだ。熱々の粥が舌の上に乗り、俺は思わず天を仰ぐ。
(……んん?)
空気を取り込み、程よい温度に落ち着いた粥を咀嚼する。
(嘘だろう?)
野菜の旨味と魚介由来の出汁が効いていて、すごく――――すごく美味い。これまでずっと、肉が中心の脂っこい食事ばかり摂っていたせいか、身体が喜んでいるのが分かる。芯が温まり、血が勢いよく巡る。あのおどろおどろしい緑色も、今では美しく鮮やかな色彩に見えるのだから不思議だ。
「どう? どう?」
アーシュラ様は俺を見つめながら、ソワソワとしていた。あんなに自信満々そうにしていたくせに、実は不安だったらしい。
「悔しいけど、美味しいです」
「ホント⁉」
良かった~~と叫び声を上げつつ、アーシュラ様は俺を抱き締める。思わぬことに心臓がドキッと跳ね、俺は危うく皿を取り落とすところだった。
「ジャネットが食べても良いでしょ? ね?」
アーシュラ様の笑顔が間近に迫る。声も出せないままコクリと頷くと、アーシュラ様は機嫌よさげに俺を解放した。改めてジャネットに食事をするよう促し、すぅと大きく息を吸った。
そう言ってアーシュラ様は、俺の口にスプーンを勢いよく突っ込んだ。熱々の粥が舌の上に乗り、俺は思わず天を仰ぐ。
(……んん?)
空気を取り込み、程よい温度に落ち着いた粥を咀嚼する。
(嘘だろう?)
野菜の旨味と魚介由来の出汁が効いていて、すごく――――すごく美味い。これまでずっと、肉が中心の脂っこい食事ばかり摂っていたせいか、身体が喜んでいるのが分かる。芯が温まり、血が勢いよく巡る。あのおどろおどろしい緑色も、今では美しく鮮やかな色彩に見えるのだから不思議だ。
「どう? どう?」
アーシュラ様は俺を見つめながら、ソワソワとしていた。あんなに自信満々そうにしていたくせに、実は不安だったらしい。
「悔しいけど、美味しいです」
「ホント⁉」
良かった~~と叫び声を上げつつ、アーシュラ様は俺を抱き締める。思わぬことに心臓がドキッと跳ね、俺は危うく皿を取り落とすところだった。
「ジャネットが食べても良いでしょ? ね?」
アーシュラ様の笑顔が間近に迫る。声も出せないままコクリと頷くと、アーシュラ様は機嫌よさげに俺を解放した。改めてジャネットに食事をするよう促し、すぅと大きく息を吸った。