聖女、君子じゃございません
「だって~~、夜会とか好きじゃないしぃ」

「一度も行ったことないのに、好きじゃないとか言わないでください。案外楽しいかもしれないでしょう?」

「うーーーーん……」


 いつになくアーシュラ様の歯切れは悪い。俺はため息を吐きつつ、宝石の一つを手に取った。アーシュラ様の髪色によく似たダイヤモンドのネックレスだ。手を伸ばし、数歩後退って、それがアーシュラ様の首に掛けられた所を想像する。


「よくお似合いですよ。可愛らしいし、大人になってからも身に着けられそうなデザインです」


 俺の言葉に、アーシュラ様は目を丸くする。ほんのりと頬が紅い。どうやら照れているらしい。可愛いと思わずにはいられなかった。


「ちょっとだけ……考えてみます」


 アーシュラ様の返答に、俺は笑った。


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