透明な君と、約束を
美咲は春から真っ直ぐな好意を向けられる。
年の差、そもそも春は高校生ということもあり美咲はそれを何とか交わし戸惑いつつも、自分の感情は抑えきれなくなり美咲が告白して秘密の交際へ。
そして最終話。
色々な事を乗り越え二人は秘密の交際を続けていたが春は大学進学を決め合格、高校の卒業式を終え、その足で美咲に会いプロポーズをする。
『大学を卒業したら結婚したい。
それまで目一杯恋人の時間を楽しもう』と。
ようやく交際を周囲に伝え、二人は幸せな時間を楽しむ為に出逢った桜並木をデートして終わる。
気がつけば一気に最終話まで見終わり、私は何度も涙した。
美咲にも春にも共感できるところがあるし、春が高校生ながらどうやって年上、それも社会人の彼女を安心させられるのかを必死に考えつつ、でも自分の嫉妬や子供っぽさに嫌気がさすところなど私は身につまされる思いだ。
これがメインキャスト初出演という鹿島さんの演技は、私からするととても素晴らしいものだった。
綺麗な高校生が愁いに満ちた表情をするかと思えば、年上の女性を守る男らしい表情をする。
同じ歳だから演技できたんだ、という酷評も目にしたが、私には声も動き一つ一つも感動してしまうレベルだと思えた。
まさに、画面にいたのは高校生の春という若者。
鹿島さんとは別人で、その事はとてつもなく凄いことだと思う。
ずっとティッシュの箱を膝に置いて泣いては引き抜いて涙と鼻水を拭く。
目の前の机の上にはぐしゃぐしゃのティッシュが山積み。
鹿島さんは最終話を見終えるまで一切私に話しかけては来なかった。
時々チラリと見たけれど、テレビ画面を見るその目は悲しそうにも楽しそうにも見えず、私は次の話にするためリモコンを操作していても声をかけられなかった。
「うん」
やっと横から鹿島さんの声が聞こえそちらを向く。
既にまた最初のあらすじ画面の出ているテレビの方を見ながら、鹿島さんの言葉は一声だけ。
自分を納得させようとしているのか、ただ単に出た言葉なのか、私にはその言葉の意味はわからない。