透明な君と、約束を
千世さんに電話をして事情を話し、会うのをその翌週にして貰った。
モデルの仕事をしていることは話していなかったが、今回エキストラとしての仕事が来てと伝えれば、千世さんは鹿島さんの思い出話を交えて心から応援の言葉をくれた。
私の知らない鹿島さんを千世さんが知っているという当然の事実を突きつけられ、また内心凹む。
今の鹿島さんは私の側にいるけれど、ずっと側にいたのは千世さんだ。
元カノの嫉妬するなんて演技の時に使えそう、などと自嘲気味になる。
千世さんは、おそらく私と鹿島さんが同じ世界にいることでより親近感を私に抱いたようだった。
会った時に色々話を聞かせてね、という彼女の言葉が純粋に嬉しいと共に、それが鹿島さんと最後の別れになる可能性が高い。
きっと私は千世さんを幸せそうに見つめて消えていく鹿島さんを、ただみつめるだけなのだろうとぼんやり考えた。