透明な君と、約束を
試験前に詰め込むように勉強し、試験を何とか終えた。
その途中でも、もらったドラマの台本を何度も読んだ。
私の役に台詞なんて無いけれど、どういうドラマなのか、どういう所での出演なのか気になって読んでしまう。
所詮はエキストラなのできちんとした台本では無く、出る前後当たりの部分を抜き出した紙の束だ。
だけど私にとっては初めて関わるドラマのもの、嬉しくないわけが無い。
むしろ勉強よりもそっちをちらちら触ってしまい集中できないので、申し訳ないけれど鹿島さんに勉強中は私がよそ見しないよう見張っていていてもらった。
どうしたって面倒な試験勉強より楽しみな撮影に気持ちが向くに決まっている。
気を散らすスマートフォンを勉強中引き離すかのように、それは我慢しながらの日々だった。