ラブアド〜シオリの物語〜
俺は今まで年下の女と付き合った事がない……。

三歳年下の妹がいたせいか、年下の女の子を見てもまるで恋愛対象にならなかった……。

育った環境?のせいもあり、俺は昔から年上の、しかも色気のある女が好きだった……。

その為に若い頃は苦労もしたし、それなりに苦汁も舐めてきた……。

過去の女達との経験は、男としての俺を成長させてくれた……。

今まで苦労してきた過去の恋愛のツケが一気に精算されたように、俺は今の彼女をゲットした……はずだった……それなのに……。

そんな俺が、まさか9コも下の女に惚れるなんて……この時は夢にも思わなかった。


あまりにも辛すぎる恋……。

俺は過去に様々な恋愛をし、失恋をしてきたが、どの失恋よりも辛い恋……。

それは俺が自分で選んだ方法だったが、あまりにも辛い日々だった……。

「暗い日曜日」という映画を見て、ある女優が「これが本当の女の愛し方だね……」と言っていたのを見て影響を受けたのか……俺は自分の気持ちを押し殺す方法を選んだ……。


シオリがうちの店で働き始めた日、俺は店長に言われてシオリをデパートの中のゴミ置き場に連れて行った。

「……そうそう、だからね店長がいる時といない時じゃ全然雰囲気が違うんだよ」

「へぇー、そうなんだぁ……」

台車を押しながら、俺はシオリに店の裏事情や、バイト仲間のキャラを面白おかしく話していた。

「え、じゃあ、内藤さんは三ヶ月で辞めちゃうの……?」

「辞めるんじゃなくて、移動になるの……。アタシ、社員希望だから……」

「え〜、寂しいじゃん。ここで社員になればいいのに……」

「……それは無いと思うよ」

「え〜、じゃあ、それまでにメルアド教えてね」

「何それ〜。超ウケる」

シオリはそう言って笑っていた……。

その時はただのノリだったが、俺はその日の内に、シオリからメルアドを聞いた……。

俺はすぐにシオリにメールを送り、メル友になった。

この時はまさか、こんなに永い付き合いになるとは思いもしなかった……。

シオリが教えてくれたメルアドが、ラブアドに変わるなんて……。

【続く】


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