キスのその後に
5.高澤杏奈
「あっちの喫茶店であったかい飲み物、買えるらしいよ。」
杏奈は、坂井莉玖の前を早足で歩いた。
心臓が飛び出しそうなほど緊張している。足がもつれそう。
イルミネーションがキラキラと輝いているが、ゆっくり浸る余裕はない。
今夜、彼をこの公園に誘ったのは自分だ。
2ヶ月前、坂井に付き合わないかと言われた。しかし杏奈はそれを断った。
坂井には他に好きな人がいると、杏奈はだいぶ前から知っていたからだ。
しかも、その相手には自分は到底かなわないだろうこともわかっていた。
だから物わかりのいい女でいようと思った。
それなのに坂井への想いは消えることがない。やっぱり諦められないのだ。
昨日、久しぶりに坂井に連絡をしてみた。クリスマスイブなのに予定はないと言うので、半ば強引に待ち合わせをした。
イルミネーションの力を借りれば、もしかしたら自分にもチャンスがあるかもという期待もあった。
「ホットコーヒーとホットカフェオレ、1つずつ。持ち帰りで。」
喫茶店に入ると、坂井が注文をした。
「あ、私の分…。」
杏奈が財布を取り出すと、坂井がその手を抑えた。
「いいって。これくらい。」
そう言って笑った。
「…ありがとう。」
ヤバい。
まるで付き合ってるみたいじゃん。
杏奈は坂井を見上げた。
坂井はくっきり二重のかわいい仔猫系男子だ。それなのにモデル並みの身長とスタイルなので、そのギャップに学校中の女子が色めき立っている。
杏奈もそのうちの一人。
しかしそんな素振りは一切見せることなく、今まで友達として付き合ってきた。
そう。
今年の夏までは。
杏奈が坂井に告白するまでは。
杏奈は、坂井莉玖の前を早足で歩いた。
心臓が飛び出しそうなほど緊張している。足がもつれそう。
イルミネーションがキラキラと輝いているが、ゆっくり浸る余裕はない。
今夜、彼をこの公園に誘ったのは自分だ。
2ヶ月前、坂井に付き合わないかと言われた。しかし杏奈はそれを断った。
坂井には他に好きな人がいると、杏奈はだいぶ前から知っていたからだ。
しかも、その相手には自分は到底かなわないだろうこともわかっていた。
だから物わかりのいい女でいようと思った。
それなのに坂井への想いは消えることがない。やっぱり諦められないのだ。
昨日、久しぶりに坂井に連絡をしてみた。クリスマスイブなのに予定はないと言うので、半ば強引に待ち合わせをした。
イルミネーションの力を借りれば、もしかしたら自分にもチャンスがあるかもという期待もあった。
「ホットコーヒーとホットカフェオレ、1つずつ。持ち帰りで。」
喫茶店に入ると、坂井が注文をした。
「あ、私の分…。」
杏奈が財布を取り出すと、坂井がその手を抑えた。
「いいって。これくらい。」
そう言って笑った。
「…ありがとう。」
ヤバい。
まるで付き合ってるみたいじゃん。
杏奈は坂井を見上げた。
坂井はくっきり二重のかわいい仔猫系男子だ。それなのにモデル並みの身長とスタイルなので、そのギャップに学校中の女子が色めき立っている。
杏奈もそのうちの一人。
しかしそんな素振りは一切見せることなく、今まで友達として付き合ってきた。
そう。
今年の夏までは。
杏奈が坂井に告白するまでは。