キスのその後に
篠田を好きかどうかはわからない。
いや、第一、教師が生徒を好きになるなどありえないのだから、そもそも考えるまでもない。
しかし春のクラス替えで3年2組の副担任になった時から、蓮にとって篠田が気になる存在であることは間違いない。
篠田は特に美人なわけでも、飛び抜けて成績が良いわけでもない。
したがって、クラスの中でも目立つ存在ではない。
友達がいないわけでもないのだろうが、休み時間には一人で本を読んだり、ボーッと窓の外を眺めたりしていることが多い。
さらに彼女は眼鏡をかけているので表情を読み取ることも難しく、担任の小川先生すら積極的に関わることを避けているようだった。
しかし1学期の初日に副担任として生徒の前で自己紹介をする際、篠田から向けられる強烈な視線に、蓮は釘付けになった。
眼鏡の向こう側の黒目がちな大きな目。
肩くらいで切りそろえられた黒髪。
背筋をピンと伸ばし無表情で見つめてくる篠田に、蓮は背中がゾクゾクする感覚に襲われた。
なんというか…。
女の色気のようなものを感じてしまったのだ。
それ以来、蓮は篠田のことが気になって仕方がない。
気になるから見てしまう。
その度、篠田の眼鏡の奥の瞳と目が合う。
そして高揚を感じる。
これが好きということなのだろうか。
いや、認めたくない。
認めてはいけない。
「…先生?」
篠田が不思議そうに下から覗き込んできた。
一瞬心臓が跳ねたが、蓮は平静を装った。
「篠田、教師をからかうんじゃないよ。」
苦笑いをした。
「からかってないです。私、先生のことが好き。」
篠田は、蓮の腕に触れてきた。
いや、第一、教師が生徒を好きになるなどありえないのだから、そもそも考えるまでもない。
しかし春のクラス替えで3年2組の副担任になった時から、蓮にとって篠田が気になる存在であることは間違いない。
篠田は特に美人なわけでも、飛び抜けて成績が良いわけでもない。
したがって、クラスの中でも目立つ存在ではない。
友達がいないわけでもないのだろうが、休み時間には一人で本を読んだり、ボーッと窓の外を眺めたりしていることが多い。
さらに彼女は眼鏡をかけているので表情を読み取ることも難しく、担任の小川先生すら積極的に関わることを避けているようだった。
しかし1学期の初日に副担任として生徒の前で自己紹介をする際、篠田から向けられる強烈な視線に、蓮は釘付けになった。
眼鏡の向こう側の黒目がちな大きな目。
肩くらいで切りそろえられた黒髪。
背筋をピンと伸ばし無表情で見つめてくる篠田に、蓮は背中がゾクゾクする感覚に襲われた。
なんというか…。
女の色気のようなものを感じてしまったのだ。
それ以来、蓮は篠田のことが気になって仕方がない。
気になるから見てしまう。
その度、篠田の眼鏡の奥の瞳と目が合う。
そして高揚を感じる。
これが好きということなのだろうか。
いや、認めたくない。
認めてはいけない。
「…先生?」
篠田が不思議そうに下から覗き込んできた。
一瞬心臓が跳ねたが、蓮は平静を装った。
「篠田、教師をからかうんじゃないよ。」
苦笑いをした。
「からかってないです。私、先生のことが好き。」
篠田は、蓮の腕に触れてきた。