キスのその後に

2.新藤真由

目が覚めると、真由(まゆ)はオレンジ色の光の中にいた。

あぁ、そうだ。
ここはラブホテル。

隣を見ると、圭介(けいすけ)はまだ眠っている。
真由はその寝顔を見つめた。

このまま時間が止まればいいのに。
このままずっと圭介と一緒にいられたらいいのに。

そう思いながら、真由は圭介の頬にキスをした。

圭介は目を覚まさない。

真由は静かに起き上がった。
ベッドの下に散乱していた下着を拾い、身につける。その上に、近くにあった圭介の大きなTシャツを着た。

身長が180センチもある彼のTシャツは、158センチしかない真由にとってミニ丈のワンピースくらいになる。

喉、乾いたな。

テーブルの上に飲みかけのお茶のペットボトルがある。それを取りに行こうと、真由はベッドから出ようとした。

「…どこ行くの。」
後ろから腕を掴まれた。

「起こしちゃった?」
真由が振り向くと、圭介がまだ眠そうな目でこちらを見ている。

「いや、なんか目ぇ覚めた。」
圭介は体を起こして、掴んでいた真由の腕を引き寄せた。

「俺のTシャツ着てるの?なんかエロくない?」
後ろから抱きしめてくる。

「なにそれ。」
真由は笑いながら、圭介の体にもたれた。
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