キスのその後に
3.小山諒太
「よし。」
諒太は呟いてノートを閉じた。
「藤間くん、終わったよ。」
振り返ると、藤間はベッドに横たわったまま目を閉じている。さっきまでゲームをしていたスマホは左手に握りしめたままだ。
諒太の声には反応しない。
「…藤間くん?」
寝てる?
諒太は藤間の顔を覗き込んだ。
静かな寝息が聞こえる。
…どうしよう。
起こすべきかな。
それともこのまま黙って帰るべきか。
藤間から言われた分の宿題は終わった。でももしかしたら、まだ残っている課題があるかもしれない。
そうだとしたら、明日きっとタダでは済まされない。
藤間を怒らせたら大変なことになる。
今まで、藤間の逆鱗に触れて潰された連中をたくさん見てきた。
藤間には誰も逆らえない。
喧嘩が強いとか威圧的とか、そういうことではない。
藤間には、凡人には抗えないオーラがあるのだ。さらに背が高くてイケメンなので、女子からも絶大な人気がある。
高校入学以来、そんな藤間と藤間の取り巻きたちのパシリとして、諒太は毎日を過ごしてきた。
休み時間にジュースを買いに行ったり掃除当番を代わったり、今日のように溜まった宿題を片付けたり、他にもいろいろ。
しかし特に不満はない。
藤間のような人間に必要とされているだけでも、自分の存在意義があると思える。
諒太は呟いてノートを閉じた。
「藤間くん、終わったよ。」
振り返ると、藤間はベッドに横たわったまま目を閉じている。さっきまでゲームをしていたスマホは左手に握りしめたままだ。
諒太の声には反応しない。
「…藤間くん?」
寝てる?
諒太は藤間の顔を覗き込んだ。
静かな寝息が聞こえる。
…どうしよう。
起こすべきかな。
それともこのまま黙って帰るべきか。
藤間から言われた分の宿題は終わった。でももしかしたら、まだ残っている課題があるかもしれない。
そうだとしたら、明日きっとタダでは済まされない。
藤間を怒らせたら大変なことになる。
今まで、藤間の逆鱗に触れて潰された連中をたくさん見てきた。
藤間には誰も逆らえない。
喧嘩が強いとか威圧的とか、そういうことではない。
藤間には、凡人には抗えないオーラがあるのだ。さらに背が高くてイケメンなので、女子からも絶大な人気がある。
高校入学以来、そんな藤間と藤間の取り巻きたちのパシリとして、諒太は毎日を過ごしてきた。
休み時間にジュースを買いに行ったり掃除当番を代わったり、今日のように溜まった宿題を片付けたり、他にもいろいろ。
しかし特に不満はない。
藤間のような人間に必要とされているだけでも、自分の存在意義があると思える。