スパダリ御曹司に年下看板娘は、溺愛で包囲されました。
「御縁興祐といいます。よろしくね」
「あ、はい……あ、私は藤野です。藤野純鈴っていいます……」
「すずちゃん、ね。綺麗で可愛い名前だ」
綺麗で可愛い名前なんて言われたことないからそれだけで照れてしまった。
「どうして御縁さんが、こんな茶屋に? 見てもらうとわかるように、もうお客さんはほとんど来てないんです」
「うん、あの商業施設が原因だよね。ふじのさんだけじゃなくて、この辺にあるお店も同じだよね?」
「はい。ここらに来るよりも種類が豊富で一回で済んでしまうあっちに行ったほうがいいとかで……それで、閉店する店が多いんです。ここもどうなることか……」
「そうなのか。シャッターが多かったのはそれが原因なんだね」
私が頷くと御縁さんは「それで聞いてほしい話があるんだけど――」と口を開いた。だけど遮るように裏手口の方からおじいちゃんが呼ぶ声が聞こえた。