スパダリ御曹司に年下看板娘は、溺愛で包囲されました。
◇老舗茶屋の閉店と求婚
御縁さんが自らの正体を明かし『また来る』と言って三ヶ月。
「また来るって言ったのに……」
私はそんなことを呟きながらお饅頭を齧る。
「まぁ、仕方ないね。大きな会社のご子息様なんだろ? あたしたちには縁のないお方だよ」
「そうだよねぇ〜……それに今更か」
「そだよ……閉める前にこれだけは売れるといいね」
「そうだね」
私は一部の棚を整理していると店を閉めるんだと言う実感が出てくる。
「純鈴ちゃん、アルバイトは決まったの?」
「ううん。まだだよ」
「そうかぁ、難しいね。純鈴ちゃんには迷惑を掛けてかけてしまって申し訳ないよ」
結局、赤字からは抜け出すことは出来なくておばあちゃんとおじいちゃんと話し合い、閉店しようと決めた。それが一ヶ月前のことだ。
閉店セールをやろうにもお客さんが来ないと在庫もなくなることはない。今更、あーだこーだ言っても数日後には閉めなきゃいけないんだから何を言っても仕方ない。