スパダリ御曹司に年下看板娘は、溺愛で包囲されました。
「どうぞ」
「ありがとうございます……あ、これ私のとこの」
「そうだよ。ここのホテルとは贔屓にしてもらってるんだ。それで【ふじの】のお茶を勧めたら使ってもらえることになって」
そうなんだ……嬉しいなぁ。
「ありがとうございます、興祐さん。興祐さんのおかげで本当に救われました」
「お礼はいいんだ。あんなに素敵な茶畑を持っていて、素晴らしい茶葉を売っているのにあのまま終わらせてしまったら勿体無いと思ったんだ」
「おじいちゃんがすごく喜んでました。あの畑は、おじいちゃんのお父さんに託された大切な畑だからって」
「よかった、純鈴ちゃんのように上手く淹れられないけど」
ひと口飲むと甘みが感じられてとても美味しい。興祐さんの人柄が出ていて優しい味だ。お茶はお湯の温度や抽出時間以外に淹れる人によって味が違ってくる。優しい人には優しさが表れる。
「とても美味しいです、ありがとうございます」
「それなら良かった」