スパダリ御曹司に年下看板娘は、溺愛で包囲されました。
「男の人の声だね、迷ったのかねぇ」
そんな呑気に言うおばあちゃんを横目に私は急いでお店の方に向かった。
「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」
そこにいたのは、ここらへんじゃ絶対見ない紺色のスーツ姿の男性。見た瞬間私は迷子だな、と確信した。こんな素敵な男性がお客様なわけが――
「あの、おススメあります?」
「えっ? はいっ……この茎茶が、私は好きです。ですが、この煎茶が定番で」
「そう。じゃあ、その茎茶と煎茶をいただいてもいいかな」
「……っ、ありがとうございます!」
その男性は、迷子ではなく本当のお客さんだった。ビニールに袋に詰めてある茶葉を入れて手渡すと、お見送りをしながらこんな小さなとこに買いに来てくれるなんてそんなことあるんだなぁと不思議に思った。