その溺愛は後出し不可です!!
この先死ぬまで働けるかしれない……。
感激のあまりぎゅうっと掛け布団を握りしめる。果歩こそ昴には大いに感謝している。
もしあの時、強引に誘ってもらわなかったら、今頃果歩はルーティンワークを淡々とこなすつまらない日々を過ごしていただろう。
三人とともに駆け抜けたこの八年間は刺激的で、忘れられない出来事の連続だった。
「ほら、もっとこっちに寄らないと落ちるぞ」
「あ、はい」
強引に引き寄せられどさくさに紛れて逞しい胸板に顔を埋める。
レモンに似た爽やかな匂いがする。
狭いベッドで身を寄せ合って寝るのが、こんなに幸せなことだったなんて。果歩は知らなかった。
「落ちたら拾ってください……ね……」
「落とさないよ」
昴の長い腕が果歩の身体をそっと包み込んでいく。離れがたくて昴の部屋着をぎゅうっと握りしめる。
ほどよい体温と芳しい香りがゆるゆると眠気を誘っていく。