その溺愛は後出し不可です!!

「また、ジャンケンするか?」

 絵に描いたような好青年、溢れる才能を鼻にかけず謙虚で誠実。二つ年上なのに子供のようにジャンケンに興じる昴を、果歩はかなり変わった人だと思っていた。もちろん、褒め言葉だ。
 
 凡人は凡人なりに昴の起業家としての活躍を心から願っていたし、陰ながら応援もしていた。それが、まさか……。

「果歩、ジャンケンしよう。俺が勝ったらうちの会社で働いてくれ」
「え!?」

 自分の人生を賭けた運試しに挑むはめになるなんて!!

 結果は……ここぞというときの引きの強さを見せつけた昴が勝利を手にした。
 こうして、果歩は就職が決まっていた大手企業の事務職の内定を辞退し、清水の舞台から飛び降りる覚悟でREALNavigatorで働き出したのだった。
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