兄の好きな人 第一部
「裕子元気で…。
勉強もう見てやれないけど頑張るんだぞ」







親がいるから
こんな兄としての言葉しか言えない







今本当に伝えたいのはこんなことじゃないのに








プルルルル








発車の合図だ









「じゃあ…。着いたら母さん電話するし」







俺は電車に乗り込んだ








そして裕子が顔をあげた







その目には溢れるほど涙が溜まっていた







< 275 / 276 >

この作品をシェア

pagetop