円満夫婦ではなかったので
【一月三十日 瑞記がもう一週間帰って来ない。
連絡もないし何か有ったのか心配で仕方ない
でも、どこからも連絡がないのはきっと事故ではないからだ。
もしかしたら私が嫌になって出て行ってしまったのかもしれない】
【二月八日 長く不在だった瑞記が帰って来た。
私はすごく不安で食事も出来なかったのに、彼は元気だった。
自分でも驚くくらいの怒りが込み上げて責めてしまったら大喧嘩になった。
瑞記は私が疎ましくて仕方ないようだ。
はっきり嫌いだと言われてしまった。直接言われるのは初めてだった。
このままでは離婚になるかもしれない】
書いている日付は飛ぶようになったが、内容は相変わらず暗い。
瑞記との関係で苦しみながらも改善出来ず、むしろ悪化している様子が伝わってくる。
夫との関係以外に触れていないところも、視野が狭くなっている証拠に感じる。
【二月十日 瑞記に無視をされている。彼が私に酷く怒っているのが分る。
午前中、突然名木沢希咲が訪ねて来た。
動揺して何を話したのか覚えていない。でも気付けばリビングのテーブルに座っていた。
彼女はとても綺麗に笑う人だった。
「改めて名木沢希咲です。仲良くしてくださいね」
そんなふうに言われた。
酷く混乱していたからきちんと返事をしたか覚えていないけれど、仲良くなんて出来るはずがない。
だって彼女は自分と瑞記は特別な関係だとはっきり言ったのだから】
「え? 名木沢さんが自分で不倫を認めたの?」
園香は日記の一文を凝視したまま驚愕の声を上げた。
信じられない。普通は隠したいものではないだろうか。
次々と明るみになる事実に心臓が煩く音を立てる。
強い緊張に苛まれ、喉がカラカラだ。
この後自分はどんな反応をしたのだろう。瑞記との関係はどうなったのか。
連絡もないし何か有ったのか心配で仕方ない
でも、どこからも連絡がないのはきっと事故ではないからだ。
もしかしたら私が嫌になって出て行ってしまったのかもしれない】
【二月八日 長く不在だった瑞記が帰って来た。
私はすごく不安で食事も出来なかったのに、彼は元気だった。
自分でも驚くくらいの怒りが込み上げて責めてしまったら大喧嘩になった。
瑞記は私が疎ましくて仕方ないようだ。
はっきり嫌いだと言われてしまった。直接言われるのは初めてだった。
このままでは離婚になるかもしれない】
書いている日付は飛ぶようになったが、内容は相変わらず暗い。
瑞記との関係で苦しみながらも改善出来ず、むしろ悪化している様子が伝わってくる。
夫との関係以外に触れていないところも、視野が狭くなっている証拠に感じる。
【二月十日 瑞記に無視をされている。彼が私に酷く怒っているのが分る。
午前中、突然名木沢希咲が訪ねて来た。
動揺して何を話したのか覚えていない。でも気付けばリビングのテーブルに座っていた。
彼女はとても綺麗に笑う人だった。
「改めて名木沢希咲です。仲良くしてくださいね」
そんなふうに言われた。
酷く混乱していたからきちんと返事をしたか覚えていないけれど、仲良くなんて出来るはずがない。
だって彼女は自分と瑞記は特別な関係だとはっきり言ったのだから】
「え? 名木沢さんが自分で不倫を認めたの?」
園香は日記の一文を凝視したまま驚愕の声を上げた。
信じられない。普通は隠したいものではないだろうか。
次々と明るみになる事実に心臓が煩く音を立てる。
強い緊張に苛まれ、喉がカラカラだ。
この後自分はどんな反応をしたのだろう。瑞記との関係はどうなったのか。