円満夫婦ではなかったので
「瑞記どうしたの?」
心配そうな顔をした希咲が、ベッドの端に腰を下ろす瑞記の隣にそっと座った。
「険しい顔をしていたけど、何か心配事があるの?」
「いやそうじゃないけど……いろいろ考えちゃってさ」
希咲に余計な心配をかける訳にはいかない。瑞記は慌てて笑顔を見せる。
「ああ……分かるよ。私も最近はいろいろ考え込んでしまうから」
「希咲が? 何かあったのか?」
仕事は順調だ。ということは彼女の夫と間にトラブルが起きたのかもしれない。気になるものの夫婦関係という最もプライベートな内容だけに聞きづらい。
瑞記が希咲の夫に関して知っているのは、世間一般に知られている表面上の情報だけだ。
希咲は少し寂しそうに目を伏せた。
「何もないよ。でも……私たちってこのままでいいのかなって、ときどき考えこんじゃうの」
「私たち?」
「私と瑞記のこと」
希咲の大きな瞳が、瑞記の目を真っ直ぐ捕らえた。
瑞記はごくりと息を呑む。ドクンドクンと自分の心臓の音が聞こえて来るような気がする。
心配そうな顔をした希咲が、ベッドの端に腰を下ろす瑞記の隣にそっと座った。
「険しい顔をしていたけど、何か心配事があるの?」
「いやそうじゃないけど……いろいろ考えちゃってさ」
希咲に余計な心配をかける訳にはいかない。瑞記は慌てて笑顔を見せる。
「ああ……分かるよ。私も最近はいろいろ考え込んでしまうから」
「希咲が? 何かあったのか?」
仕事は順調だ。ということは彼女の夫と間にトラブルが起きたのかもしれない。気になるものの夫婦関係という最もプライベートな内容だけに聞きづらい。
瑞記が希咲の夫に関して知っているのは、世間一般に知られている表面上の情報だけだ。
希咲は少し寂しそうに目を伏せた。
「何もないよ。でも……私たちってこのままでいいのかなって、ときどき考えこんじゃうの」
「私たち?」
「私と瑞記のこと」
希咲の大きな瞳が、瑞記の目を真っ直ぐ捕らえた。
瑞記はごくりと息を呑む。ドクンドクンと自分の心臓の音が聞こえて来るような気がする。