ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「ほ、本当に困りますっ。私、私っ……もうすぐお見合いするんですっ」 

刹那、彼が動きをピタリと止める。
けれど――

「……へぇ、だから?」

冷笑と共に返されてしまい、二の句を継げない。

「ここでそれを言うか? 最初に誘ってきたのは君の方だろう。一度が二度になるだけだ。どんな違いがある?」

どこか投げやりに言い放つと、私の顎を掴み、再び深く唇を合わせてくる。

「ふ、っぁ……ぅン……」

「ごちゃごちゃ考えずに、全部オレに委ねればいい。楽しませてやるから」

首から鎖骨へ、淫らに這う舌を感じて身体がぴくぴくと反応した。
敏感に彼の存在を感じてしまう自分が恥ずかしくて、唇を噛む。

「ほら、力抜いて」

骨ばった手が、服の上から胸の形を確かめるように包み込む。
指先が、その頂点へ執拗に煽情的な円を描く――

「っ、ん、……ゃあ、……」

まだ服をちゃんと着ているのに、まるで彼には私の裸が見えているようだ。
乱れた息を整える余裕もなく的確に刺激を送られて、頭の中は塗りつぶされた様に白くぼやけていく。

このまま彼のものになれたら、どんなにいいだろう。

身体目当てでもいい。
何番目の女でも構わない。
彼が飽きるまででいい。

そうだ、彼の言う通り、一回が二回になったって大したことじゃないのかもしれない――……


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