ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
楽しみで仕方なかった。“誰でもよかった”男のままで終わってたまるかと。
……まぁ、それが初日から暴走してしまった原因、といえるかもしれない。
――私、御社を辞めさせていただこうと思ってます。
――私は、派遣会社から派遣された社員です。あなたに私へ直接命令する権利はないはずです。だいたい副社長が社員と同居なんて、おかしいでしょう。
こっちの気持ちなんて知らないとばかり、冷静な顔を崩すことなく会社を辞めるとか言い出すから、もっとオレのことを意識すればいいって、お仕置きのつもりでベッドへ……
――あの夜から、織江のことが頭から離れない。
――責任、取ってもらおうか?
まさか、キスだけで一気に理性が飛ぶとは想定外だった。
――っあ、の……これは……っ
泣いている彼女を見てようやく我に返り、後悔と焦りがドッと襲ってきた。
無理やりしたいわけじゃない。自ら落ちてきてくれなくちゃ何の意味もないんだから。
大いに反省して、今後は彼女が自分で望むまで不用意な接触はしない、と誓う。
もちろんオレだって男だ。それほど待てるとは思えない。ということはつまり、早く彼女が自分でそれを望んでくれるよう、どうにかしないといけないということだが……。
それでもオレは割と楽観的に考えていた。
初めての男に選ばれたのだ、間違いなく他の男よりは好意を持たれているはずっていう自信があったし。ワインでも飲ませてそういう雰囲気にもっていけば、きっとすぐにギブアップするんじゃないか、とか――鬼畜な思考回路だったと今は反省している。