ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
2. 貴志side イケメン副社長の本音
◆
「……高橋」
「はい、ご心配なく。あの場にいた雑誌とテレビ局の各社には、上層部宛てに厳重なクレームを入れておきます」
「そうじゃなくて」
「中条瑠衣の事務所にも同様に抗議しておきます。今回も完全に、相手側のリークが原因でしょうから」
「ッ、ユキ!」
上昇を始めたエレベーターの壁に、オレの尖った声がぶつかった。
「高橋、とお呼びください。副社長」
「ユキ、さっきのあれはなんだ?」
役員フロアへ直通する鏡張りの箱に、2人きり。
それをいいことに嫌がらせのようにプライベートでの呼び名を連呼して詰問すると、操作盤を見ていたすまし顔がようやくこちらを向いた。
「なんのことでしょう?」
「親父との打ち合わせなんて、入ってないだろ」
――副社長、お急ぎになりませんと、社長とのお打合せの時間に遅れてしまいます。
そう促されたから、諦めざるを得なかった。
彼女に話しかけるのを。
「なにをそんなにイラついてらっしゃるんですか?」
は? イラついてる? オレが?
「確認させていただきますが、先週金曜日の夜に副社長がお楽しみになった彼女は、気づかれていることに気づいていないんですよね?」
「っ……」
「……高橋」
「はい、ご心配なく。あの場にいた雑誌とテレビ局の各社には、上層部宛てに厳重なクレームを入れておきます」
「そうじゃなくて」
「中条瑠衣の事務所にも同様に抗議しておきます。今回も完全に、相手側のリークが原因でしょうから」
「ッ、ユキ!」
上昇を始めたエレベーターの壁に、オレの尖った声がぶつかった。
「高橋、とお呼びください。副社長」
「ユキ、さっきのあれはなんだ?」
役員フロアへ直通する鏡張りの箱に、2人きり。
それをいいことに嫌がらせのようにプライベートでの呼び名を連呼して詰問すると、操作盤を見ていたすまし顔がようやくこちらを向いた。
「なんのことでしょう?」
「親父との打ち合わせなんて、入ってないだろ」
――副社長、お急ぎになりませんと、社長とのお打合せの時間に遅れてしまいます。
そう促されたから、諦めざるを得なかった。
彼女に話しかけるのを。
「なにをそんなにイラついてらっしゃるんですか?」
は? イラついてる? オレが?
「確認させていただきますが、先週金曜日の夜に副社長がお楽しみになった彼女は、気づかれていることに気づいていないんですよね?」
「っ……」