ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

しつこいほどに愛撫を施したせいか、くたりとシーツに沈んだ身体はもはや従順に快感を受け取り始めていた。

その証拠に、指先で足の間を探るとこちらが驚くほど潤っている。
本命の男じゃなくても感じるんだなと、皮肉っぽく頬が歪んだ。

「分かるか? このいやらしい音」

わざとばらばらに複数の指を中で動かし、水音を響かせた。

ココ(・・)は素直だな。早くオレが欲しいって言ってるぞ。挿れたらオレの、トケるかもな?」
「や、言わな、ぃでっ……」

涙目で睨まれ、昏い悦びが満ちる。
今この瞬間、彼女の視界に映っているのはオレだけだ。

そのままオレだけを見つめていればいい。このまま、ずっと。

祈るように頭の中で唱え、視線をあわせたまま、ゆっくりと自身の昂りを沈めていく。

「く、……っつ……」

強烈な快感の波にすべてを持って行かれそうになりながら、ギリギリのところで自分を抑え、彼女を伺う。
やがて、拒絶の声も消え、恍惚と色づいていく表情を認めて、そして――……限界だった。

オレはリミッターを自分で外した。

折れそうな腰を両手でつかみ、獰猛な欲望のままに彼女を揺さぶり始める。


「あっン……、ぁああああっ……」


高く細く、甘やかに響く嬌声が、愛おしかった。
もっともっと聞きたい。
啼かせたい――オレだけのために。

その後、オレは結局明け方まで彼女の身体を離さず、思うさま貪り尽くした。
抱き潰された彼女がどんな感想を抱いたか、知ることはできなかった。

次に目が覚めた時、隣に彼女の姿はなかったからだ。


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