ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
キララが言った通りだったと、私がパパ活をしてると思ったんだろう。
掴まれた腕より何より心が千切れそうに痛くて、ろくに言い訳もできないままマンションへ連れていかれて……彼に抱かれた。
ベッドが壊れるんじゃないかってくらい激しく揺さぶられ、何度も意識が飛びかけるほど抱き潰されて、足腰はガクガク。翌朝彼を起こさないようにベッドを離れるのはかなり大変だった。
もちろんわかってる。彼は、私を好きで抱いたわけじゃない。
私への怒りのため、裏切りを罰するため。
全身へ執拗に散った紅い痕も、決して愛の証じゃない。
そうだとしても、ものすごく幸せだった。
彼がまだ、私に欲情してくれるんだって感じて、たまらなく嬉しかった。
あぁほんとに……バカだなぁ。
あんな終わり方をしたのに、まだこんなに、彼のこと……
……でも。
それももう、終わりだ。
今日ですべてに決着がつく。すべてが終わる。
――織江は、自分の足で立てる女性にならなくちゃダメよ。
――そして、思うままに生きなさい。
お母さん、私、頑張ったよ。
だから……これでいいんだよね。
これで貴志さんの未来は、二度と私のそれと交わることはない。
庭から視線を外した私は、再び歩き出した。