ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
私は村瀬家の3人へ“プラチナ会”とは何かを説明しようかと思ったが、不要だった。それより前に社長夫人が身を乗り出したから。
「私も金ノ宮学園の出身なのよ。だから、知ってるわ。子どもを金ノ宮に通わせている人たちが学園生活を支えようと活動してる、公立校でいうPTAのようなものよね? 子どもが卒業後もサポートを続けるところは、ちょっと違うけれど」
そうです、と私は頷いた。
つまりそのそうそうたる顔触れを知っているお継母さんなら、おいそれと嘘だのデタラメだのとは言い張れないだろうということは織り込み済み。話を聞かせてくれたのは実はノリちゃんのお母様なのだが、それは伝えなくていいだろう。
「そのコンサルティング会社と一星とは直接的な取引はありません。では継母の個人的な知り合いでしょうか。そこで、以前話を聞いた取引業者に再度接触して、栄光コンサルティングの名前を出してみたんです」
動いたのは、今年のゴールデンウィーク前後のこと。
そしてキララが持っていた写真は、この時の私と業者との話し合い風景を写したものだ。
言い訳めいたことは、何もしゃべる気はないけれど。
「すると、少なくとも数社が取引をしていることを認めました。しかもそれは、継母からの紹介で決まったというんです」
これは何かある。
さらに突っ込んで調べてみようと思った矢先の急展開――貴志さんとの同居――は、私もまったく予想していなくて。慌てて今井さんにメッセージを送ったっけ。
――【先ほどは、電話に出られなくてすみません。実はトラブルがありまして、しばらくお会いすることが難しくなってしまいました。私の身動きが取れない状態で、代わりにいろいろ動いていただけるとありがたいのですが……】
ほとんど丸投げする形になってしまったけど、幸い彼は快く引き受けてくれ、まるで私立探偵のように動いてくれた。