ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
5. 貴志side 「へぇ……誰でもよかった、ね」
◆
「へ……は? え、えぇっ!? な、い、ど、わっ……」
ひっくり返りそうな勢いでのけぞり、声にならない声でアワアワ叫ぶ山内織江。
どうやら全く気づかれてないと信じ込んでいたらしい。
真っ赤になったり泣きそうになったり……心中のパニックが顔にそのまま表れている。
こんなにいろんな表情するんだな。
いつもの大人しそうな顔をかなぐり捨てて狼狽える彼女は、オレの目にとても新鮮に映って、思わずふはっと吹き出してしまった。
「文章になってないぞ? いつわかったんだ、って聞いてるのか? んなの最初からに決まってる。最初に、バーで声をかけられたときから」
バレてないと思ってたのか、と笑い交じりに聞くと、彼女はソファから勢いよく立ち上がった。
「ももも申し訳ありませんでしたっ!!」
そのままオレへ向かってガバッと髪が床につく深さで腰を折る。
「で、できましたら、記憶を早急に永久に抹消していただきたく……」
「忘れろって? 随分勝手なことを言うんだな」
なんとなくもう少し困らせてやりたくなって意地悪く言えば、上体を戻した彼女は「も、申し訳ありませんっ」とオロオロと潤んだ瞳を揺らし、肩を縮こまらせてしまう。
あぁしまった、間違えた。
そんな顔をさせたいわけじゃない。
「別に謝ってほしいわけじゃないんだ。でも理由を聞く権利くらいはあるだろう? どうしてあんなことをした?」
「へ……は? え、えぇっ!? な、い、ど、わっ……」
ひっくり返りそうな勢いでのけぞり、声にならない声でアワアワ叫ぶ山内織江。
どうやら全く気づかれてないと信じ込んでいたらしい。
真っ赤になったり泣きそうになったり……心中のパニックが顔にそのまま表れている。
こんなにいろんな表情するんだな。
いつもの大人しそうな顔をかなぐり捨てて狼狽える彼女は、オレの目にとても新鮮に映って、思わずふはっと吹き出してしまった。
「文章になってないぞ? いつわかったんだ、って聞いてるのか? んなの最初からに決まってる。最初に、バーで声をかけられたときから」
バレてないと思ってたのか、と笑い交じりに聞くと、彼女はソファから勢いよく立ち上がった。
「ももも申し訳ありませんでしたっ!!」
そのままオレへ向かってガバッと髪が床につく深さで腰を折る。
「で、できましたら、記憶を早急に永久に抹消していただきたく……」
「忘れろって? 随分勝手なことを言うんだな」
なんとなくもう少し困らせてやりたくなって意地悪く言えば、上体を戻した彼女は「も、申し訳ありませんっ」とオロオロと潤んだ瞳を揺らし、肩を縮こまらせてしまう。
あぁしまった、間違えた。
そんな顔をさせたいわけじゃない。
「別に謝ってほしいわけじゃないんだ。でも理由を聞く権利くらいはあるだろう? どうしてあんなことをした?」