【短編】もっと俺のことかまって
しばらくして俺の近くで声が聞こえる。
「じゃ、また後で連絡します」
すぐにドアに押し当てている耳を離して、慌てて”今ここを通りましたよ”的な雰囲気を装う。
それでも誰と話していたか気になって仕方なかった俺は、保健室から出てきた人物を凝視する。
中から出てきたのは体育教師の杉村先生だった。
「お、春木。今帰りか?」
のんきに話しかけてきやがって。
こっちは嫉妬でどうにかなりそうなのに。
「先生さようなら」
そう言いながら帰るふりをして、杉村先生がいなくなったのを見計らって、また保健室へ戻った。