雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
本当に雨宮課長はソフトクリームを買ってくれた。外の展望デッキで鳴子峡の景色を眺めながら食べるソフトクリームは確かに美味しい。

だけど、スーツ姿の私たちが浮いている気がする。
私も今日はグレーのパンツスーツ。課長もグレーのスーツ。

スーツの色が偶然同じなのは、ちょっとだけ嬉しいけど、グレーの私たちの周りには色とりどりの私服姿の人たちがいる。

今日は土曜日だし、みんな遊びに来たんだろうな。

すぐ隣で同じように景色を眺めるカップルが少し羨ましい。
彼氏が彼女の肩を抱いて、彼女は甘えるように彼の肩に頭を乗せている。

あんな風に雨宮課長に甘えてみたいと思うけど、私と課長の間には30㎝ぐらいの距離がある。

恋人だったら0㎝なのかな。

思わずため息が出た。

「中島さん、ソフトクリームもう一本欲しいの?」

雨宮課長がからかうように言った。

「違います!」

もう、人を食いしん坊キャラみたいに……。

ちょっといじけて頬をぷっと膨らませたら、雨宮課長がクスクス笑った。会社にいる時よりも、課長が親し気な感じがする。

なんか一緒にいるだけで楽しい。

仕事だけど、ちょっとデートみたい。
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