雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
遊歩道を歩きながら雨宮課長が、最初に来たのはフラワームーンの願いの映画の撮影の時だったと話してくれた。
映画好きの雨宮課長は自分の作品がどんな風に制作されるのか興味を持ち、自分から撮影現場に足を運んだそうだ。
それで映画館の支配人藤原さんとも親しくなったと教えてくれた。
その頃の雨宮課長は21歳と聞いて、藤原さんが「雨宮くん」と呼んでいたのもわかる。
「今も映画の脚本書いているんですか?」
気になっていた事を質問すると、雨宮課長がNOというように首を振る。
「大学生の頃は作品を仕上げたら、いろんなコンクールに応募していたけど、引っかかったのは『フラワームーンの願い』だけだったんだ。そこからプロとして仕事を広げる人もいるけど、俺はね、そういうの向いていないと思ってやめたんだ」
「なんかもったいない気がしますけど。一度でも賞を取ったのなら才能があると思うのですが」
「ありがとう。でも、気づいたら書く意欲もなくなってしまってね」
雨宮課長が小さく息をついた。
「それよりも映画の配給がしてみたいと思ったんだ。実は中島さんが入社する前は宣伝部にいたんだ」
「えー! そうだったんですか!」
「うん。主に洋画の買い付けを担当していてね。カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア映画祭は出張でよく行ったな」
知らなかった。
意外な事を聞いて雨宮課長にまた親しみを感じる。
映画好きの雨宮課長は自分の作品がどんな風に制作されるのか興味を持ち、自分から撮影現場に足を運んだそうだ。
それで映画館の支配人藤原さんとも親しくなったと教えてくれた。
その頃の雨宮課長は21歳と聞いて、藤原さんが「雨宮くん」と呼んでいたのもわかる。
「今も映画の脚本書いているんですか?」
気になっていた事を質問すると、雨宮課長がNOというように首を振る。
「大学生の頃は作品を仕上げたら、いろんなコンクールに応募していたけど、引っかかったのは『フラワームーンの願い』だけだったんだ。そこからプロとして仕事を広げる人もいるけど、俺はね、そういうの向いていないと思ってやめたんだ」
「なんかもったいない気がしますけど。一度でも賞を取ったのなら才能があると思うのですが」
「ありがとう。でも、気づいたら書く意欲もなくなってしまってね」
雨宮課長が小さく息をついた。
「それよりも映画の配給がしてみたいと思ったんだ。実は中島さんが入社する前は宣伝部にいたんだ」
「えー! そうだったんですか!」
「うん。主に洋画の買い付けを担当していてね。カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア映画祭は出張でよく行ったな」
知らなかった。
意外な事を聞いて雨宮課長にまた親しみを感じる。