雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
その後も雨宮課長が担当した映画の話を聞いた。私も宣伝部にいたからうちが配給した作品は全て知っている。雨宮課長が買い付けた作品はどれも中々のヒット作だった。

雨宮課長って凄いなと思うばかり。

でも、なんで優秀なバイヤーだった雨宮課長が総務部に?

話を聞きながらそれだけが腑に落ちない。

私のように上司を怒らせて異動になったのかな?

「これ、中島さんに似てる」

雨宮課長がこけしのキーホルダーを手に取った。

遊歩道から戻って来た私たちはレストハウスに戻り、土産物店を見ていた。

雨宮課長が手に取ったのは親指サイズの目がくりっとした丸顔の可愛らしい顔をしたこけし。

「いえ、私、こんなに可愛くないですから」
「そうかな。中島さんって小動物っぽい可愛らしさがあると思うんだけど」

小動物?

課長の目には私は小動物に見えているの?

なんか、その言葉を聞いて課長に子ども扱いされるのがわかった気がする。

私って、大人の女性にはなれないのかな。

これでも、もう30歳なんですけど。
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