雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
ファミレスを出て、雨宮課長の隣を歩く。
土曜日の朝、夜は煌々としていた繁華街も眠りについたように静か。

昨夜は思いがけない事が続いたせいか、気持ちが高揚している。ふと雨宮課長の広い肩が目についた。

男らしくて頼りがいのありそうな肩。

雨宮課長の肩に寄り掛かって眠ったらよく眠れそう。

雨宮課長の肩……。

って、何、考えているの!

男の人の肩に寄り掛かって眠りたいなんて私らしくない。私はそんなキャラじゃない。

「奈々子は強すぎて可愛げがないんだよ。守ってあげたい感ゼロ。俺、無理だわ」

初めてつき合った人に言われた言葉だった。
十年前の事なのに、呪いの言葉のように私の中に残っている。

可愛げがない。

守ってあげたい感ゼロ。

それが私。

しっかりしなきゃ。

雨宮課長の肩に寄り掛かりたいなんて思っちゃいけない。部署は違うけど上司。プライベートを一緒に過ごす人じゃない。

線引きしなきゃ。
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