雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「奈々ちゃんの浴衣姿があまりにも可愛すぎてそれ所じゃなかったんだ」

えっ。
課長が素っ気なかったのは私の浴衣姿が原因だったの?

「それに『一緒に貸切風呂に入ってくれるんですか』だなんて。あんな事、言われたら意識するだろ。頭から奈々ちゃんの入浴シーンを消すので必死だったんだ。だから茶わん蒸しの事は注意しそびれた」

課長の戸惑いが伝わって来て胸がドキドキする。
課長の気持ちに全く気づいていなかった。

「私、課長を動揺させていたんですか?」
「物凄くね」
「全然そんな風には見えませんでしたけど」
「隠していたんだ。部下に手を出す訳にはいかないだろ。自分の気持ちに抵抗していたが結局は無理だった。思えば映画館でハンカチを貸したあの瞬間から、奈々ちゃんから目が離せなくなった」

眼鏡越しの瞳が愛しそうにこっちを向く。

「映画館で会った夜、俺、奈々ちゃんだったから、眠いの我慢して朝までファミレスにいたんだと思う。きっと他の子だったら、さっさと帰っていた」

眠いの我慢……。

そういえばあの日、明け方の課長は眠そうだった。

私の為に眠気に耐えてくれていたなんて……。

ヤバい。また感動して泣きそうになる。

「えっ、奈々ちゃん、なんで泣くの?」
「だって課長が嬉しい事ばかり言うから」

大好きな課長に想われていたなんて幸せ過ぎる。
< 151 / 373 >

この作品をシェア

pagetop