雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
――つき合えない。
言われた瞬間、大きく心が揺れた。
雨宮課長は今、何を言ったの?
だって私の事、好きだって……。
さっきまで恋人みたいに過ごして……。
「やっぱり私に失望しましたか?」
「違うんだ。そうじゃない。奈々ちゃんの事は好きだ」
「じゃあ、どうして、そんな酷い事言うの?」
『佐伯リカコがくれぐれも例の件はよろしくと言っていました』
成瀬君の言葉を思い出した。
「佐伯リカコですか? 彼女と何か約束したんですか? 雨宮課長、私を通り越して佐伯リカコと映画のフィルムの事で交渉しましたよね?」
「藤原さんから『フラワームーンの願い』のフィルムを佐伯リカコに売ったと聞いたんだ。赤字続きの映画館の経営が苦しくして、手放すかどうか考えていた所に佐伯リカコから話をもらっていたらしい。それで俺は七年ぶりに彼女の携帯にかけた。まさか繋がるとは思わなくて。望月先生にも彼女の秘密を守ってもらうという条件で映画のフィルムを貸してくれるようにお願いした。その時に交換条件を提示された」
「交換条件? 佐伯リカコは課長に何をお願いしたんですか?」
「彼女の恋人のふりをする事だ」
「恋人のふり?」
言われた瞬間、大きく心が揺れた。
雨宮課長は今、何を言ったの?
だって私の事、好きだって……。
さっきまで恋人みたいに過ごして……。
「やっぱり私に失望しましたか?」
「違うんだ。そうじゃない。奈々ちゃんの事は好きだ」
「じゃあ、どうして、そんな酷い事言うの?」
『佐伯リカコがくれぐれも例の件はよろしくと言っていました』
成瀬君の言葉を思い出した。
「佐伯リカコですか? 彼女と何か約束したんですか? 雨宮課長、私を通り越して佐伯リカコと映画のフィルムの事で交渉しましたよね?」
「藤原さんから『フラワームーンの願い』のフィルムを佐伯リカコに売ったと聞いたんだ。赤字続きの映画館の経営が苦しくして、手放すかどうか考えていた所に佐伯リカコから話をもらっていたらしい。それで俺は七年ぶりに彼女の携帯にかけた。まさか繋がるとは思わなくて。望月先生にも彼女の秘密を守ってもらうという条件で映画のフィルムを貸してくれるようにお願いした。その時に交換条件を提示された」
「交換条件? 佐伯リカコは課長に何をお願いしたんですか?」
「彼女の恋人のふりをする事だ」
「恋人のふり?」