雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
社食中の社員たちの視線が私たちに注がれる。

雨宮課長はその視線を受け取るように堂々と立っていた。

一瞬だけ課長と視線が合う。
私にわかったと言った気がした。

課長はトレーをテーブルの上に置くとこの場にいる皆に向けるように深くお辞儀をする。

「この度は写真週刊誌の件で、社内をお騒がして大変申し訳ございませんでした。皆さまに不快な思いをさせてしまった事は私の不徳の致すところでございます。週刊誌にあった事は事実です。佐伯リカコさんとは16年の付き合いになり、友人としてお付き合いをさせて頂いております。しばらく温かい目で見守って頂けるとありがたいです」

課長の謝罪はとても誠実で真面目な気持ちが伝わってくるものだった。

これは雨宮課長を温かく見守ろうという流れが作れるチャンス。

このタイミングで拍手だ！

大きな音が出るように両手を叩いて拍手する。

私が拍手をすると、桃子も合わせるように拍手してくれて、その拍手が全体に伝わっていき、社食内は割れんばかりの拍手が鳴り響いた。

「雨宮課長、がんばってください」

桃子が言ってくれた。そしてその言葉に続くように、「がんばってください」という言葉があちらこちらで続く。

完全に風向きが変わった。

みんなが雨宮課長を応援しようという気持ちになったんだ。

良かった。

これで課長への風当たりは弱くなる。

良かったんだ……。

そう思うのに、佐伯リカコと雨宮課長の仲が公認の仲になった気がして、胸が締め付けられた。
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