雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
フライパンの中でぐつぐつと煮立っているミートソースに課長が慣れた様子でハーブ類を入れていった。

何のハーブか聞くと課長が教えてくれる。

「バジル、ローズマリー、タイム、オレガノ、それからローリエだよ」

なんか課長の作るミートソースお洒落。

「奈々ちゃん、ローズマリーの量は気をつけてね。入れすぎると薬みたいな味になるから」

「そうなの? 沢山いれれば美味しくなると思っていた」

課長がクスッと笑う。

「沢山入れていいのはバジルかな。バジル多めは俺は好きだよ」
「私もバジル好きで、昔、観葉植物代わりに育てていた事がありました」
「家庭菜園か。いいね。それで今は?」
「聞かないで下さい。人には向き不向きがあるんです」
「枯らしたな」と言って、課長が楽し気に笑い、頬にチュッとキスしてくれた。

不意のキスが嬉しい。

「さあ、お姫様、あとは20分煮込んで完成。完成までの時間はくっついていようか」

隣に立つ私を課長が抱きしめてくれる。

「……はい」

ミートソースが出来るまでの20分、課長はずっと抱きしめていてくれた。
そのせいで少しパスタを茹でる時間が遅くなったけど、課長に沢山甘やかされて幸せ。
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