雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「先生、酔ったんですか?」

黙ったままの先生に訊いた。

「いや」と呟いて、先生は何かを考えているよう。

一体何を考えているのだろう? 拓海さんが映画の脚本を書いたと言ったら、急に先生の様子が変わった気がする。

「中島さん、先生はこうなっちゃうとどうしようもないのよ。ふぐちり食べましょう」

今日子さんに言われた。

今私たちの前には熱々のふぐちり鍋が運ばれて来た。
もうコースは最後の方。

ふぐのプリプリの身が美味しい。
締めの雑炊も楽しみ。

拓海さんも楽しんでいるかな?
拓海さんの方を見ると、いつの間にか席にいなかった。隣の佐伯リカコも。

二人だけでこっそり抜けたような気がして、嫌な予感がする。

「ちょっとお手洗い行ってきます」

お箸を置いて、今日子さんにことわってから席を立った。
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